「どうしよう、全く浮かばない……」
「何が?」
ため息交じりにぼやいた言葉に返事が返ってきて思わず跳びあがる。「ふ、二人とも。いつからそこに?」
「ついさっき。食堂でたまたま会ったから、今朝のトレーニングの続きをすることになってここを通りすぎようとしたら、そこであんたがうんうん唸ってるから心配になって話かけたってわけ」
ネルがこれまでの成り行きを説明すると、テトが数歩近づいて「大丈夫?」と問いかけてきた。「何か悩んでたみたいだけど…。よかったら聞くよ?」
「悩み事ってほどじゃないけど……」
グミのベンチにテトとネルが座るのを見ながら、苦笑しつつ微妙に言葉を濁すと、「あら、珍しいメンバーね」
聞き覚えのある声に顔をあげると、メイコが軽くこちらに手を振っているのが視界に入った。「テトとグミならわかるけど、ネルもいるなんて、一体何の集まり?」
「メイコ、別に不思議なことじゃないわ。ネルはテトの指導員だもの。そこから推察するに、テトとネルはたまたま会って一緒に行動を共にしていたら、こんな昼下がりにグミが一人で悩むなり考え込むなりしているのを見かけて、相談に乗ろうとしてたっていう状況っていうのが一番有力な説ね」
一点の間違いもなくぴったり言い当ててしまったルカの推理に、グミとテトは目を見張り、ネルはため息を吐いた。「ったく…。相変わらず鋭いわねー、ルカは」
「情報が揃ってれば、推理なんて容易いものよ。子供でも出来るわ」
「いや、あんただけだから。少ない情報でそんだけ推理できるのは」
じとりと見やりながらネルが即座に突っ込むと、ルカはくすりとだけ笑う。「ということは、グミは現時点で何かに悩んでるってこと?」
「あ、いや、さっきも二人に言ったんですけど、悩んでるっていうより考えてただけで…」
小首を傾げて尋ねるメイコにかぶりを振って答えると、ふとレンに言われたことを思い出した。「あの!先輩達はどうしてレッド・ウィングに入ろうと思ったんですか?」
思い切って訊いてみたが、予想通りというかグミの唐突の問いに一同ぽかんとしていた。「もしかして、レンに何か言われた?」
「あの、実は……」
グミは今朝、レンに出された“課題”について簡潔に説明すると、テト以外は納得した顔になって一つ頷いてみたりなんかする。「なるほどね。それにしても、レンもいきなり新人にそんな無理難題つきつけるなんて、ホント無茶させるわね」
「そうね。ここにいる隊員でも、そんなに明確な理由を持って戦ってる人は少ないでしょうし」
やれやれといったように嘆息するメイコの隣でルカはしばらく黙りこくってから、「とりあえず、私は昔から推理小説が好きでね。限られた情報と事実で答えを導き出すっていうのが凄く面白かった。情報を集めるのも好きで、まだ幼いうちから新聞を読んだりしてたわ。それから、
「でも、そうしてるうちに物足りなくなってきちゃって。もっと深い所まで知りたいっていう欲求が高まっていったの。そして、ある時、一人のハッカーと知り合った」
「ハッカー…、ですか?」
「ええ。それで、そのハッカーにハッキング技術を教えてもらうようになって、最終的には国のデータベースに何の痕跡も残さず侵入できるようになったわ。といっても、情報を抜き取ったりとかしなかったし、報道されてた犯罪者の居場所を独自で突き止めて、警察に流したりしてただけで、悪用はしてないわよ?」
にっこりと笑ってみせるルカの顔は凄く綺麗だった。「でも、やっぱりそれだと限界があった。せっかく警察に情報を流しても、それを活用してくれることなんてごく稀でほとんど役に立ててくれなかったし。でも、
「ご両親とか、反対しなかったんですか?」
「初めて話した時は、唖然としてわね。でも、そこは上手いように言い包めて納得させたし、そんなに揉めなかったわよ。担任の教師にも同じ手を使って、『この決心は変わりません』って熱っぽく言っておいたら応援してくれたわ」
上手くやってやった、と笑うルカにもう苦笑いしか出ない。「言い包めたって、凄くあなたらしいわね。でも、ちょっと羨ましい。私は結構もめたし」
「まあ、普通はそうですよ。だって危険な仕事ですし…」
「いや、うちはそうので揉めたんじゃないけどね」
苦笑を浮かべて片手を軽く横にふってメイコは否定を示すので、テトが首を傾げると小さく嘆息して視線を僅かに上に向ける。「ロックベーヌの家っていうのはね、先祖代々軍職に就く家系だったの。私はそこの一人娘だから、子供の頃から英才教育を受けさせられた。小さい頃はもっと遊びたいって言って、父にいつも反発してたの、よく覚えてる」
「で、その頃くらいにカイトと会ったのよね。そして、それから父親への反発がなくなっていった、と」
「ちょっ、勝手に暴露しないでよ!それから、どっから拾ってきたのよ、その情報!」
「情報を集めるの、昔から好きなもので」
おどけたように答えるルカにメイコは渋い顔をしたが、「もう!」とだけ言ってそれ以上は追求しなかった。「とりあえず、まあ私も家柄しょうがないっていうのもあって受け入れていった。でもどうしても、軍に入る気にはなれなかった。軍に入っても、父の威光を受けて、自分が正当に評価されないだろうっていうのも目に見えてたし」
「メイコさんのお父さんって、そんなに位が高い方なんですか?」
「私が子供の頃には少佐にまでなってたわね。今は大佐だけど、もうすぐ准将になれそうだって母さんからこの前連絡があった」
興味なさそうにメイコは答えたが、それにテトとグミは同時に目を剥く。「まあ、そんなことより、どうしても国の為に戦うつもりになれなかったっていうのが一番の理由だったんだけどね。国なんかじゃなくて、民間人の為に戦いたいって思った。当時には反政府組織の動きも激化してて、大勢の一般人が犠牲になっててね。だから、私はその被害を減らすことに戦う為にここに入ることを決めたわ」
「ちなみに、レッド・ウィングに入るのを勧めてくれたのも、カイトだったのよね」
「代わりに説明してくれてありがとう……」
「いえいえ」
眉間に皺を寄せて決してありがたくなさそうな声色でメイコが言い、それを気にした風もなく飄々と返すルカ。「でも、その後が凄く大変だったの。母さんはすんなり許してくれたけど、父が断固反対で。ロックベーヌ家の尊厳はどうなるとか、お前が継がなければ誰が継ぐのか、とかそんなのばっかり。最終的には、国の狗に成り下がる気か、だなんていうから、言ってやったわ。『どっちがよ?国が決めた事を正義としてる軍が、どうして国の狗ではないと言えるの?他国を侵略して、人々から故郷を奪うことが本気で正義だと思ってる?同じ狗に落ちるなら、私は市民を守る国の狗なってやる』ってね。自分の言った事、一字一句覚えてる。もう、それからは大騒ぎ。自分の父親とあれほど殴り合ったのはあれが初めてよ」
「な、殴りあい…、ですか?」
「そう、もう思いっきり。結局どっちもボロボロになったところを使用人達に取り押さえられて、二人とも自室に引っ込まされたけどね。結局、最後まで許してもらえないまま家を出て、訓練課程免除で入隊試験受けたってわけ」
若気の至りね、といって憂い顔でふっと息を吐くメイコにグミは、ははっと引きつり笑いを返すしかできない。「それにしても、訓練課程免除って凄いですね。入隊水準が随分高いって聞きますけど」
「子供の頃から鍛えられてたからね、体も頭も」
訓練課程免除とは、養成学校に入学してないものでも入隊試験を受けることができるよう設けられた特殊制度だ。「確か、その年のその枠からの合格者はカイトとメイコだけだったわね?」
「カイトの家はレッド・ウィングの創設に関わってるからね。私と1つしか歳がかわらないのに、同じくらいの間、同じような教育受けてて、受からないほうがおかしいわ」
「ついでに言っておくと、カイトはその年の首席合格者でそれまでの合格者の中で一番高い成績を収めたのよ。もっとも、その四年後、その成績は新たに塗り替えられたけどね」
それを聞いてどきりとした。「そういえば、うちももめたのよねー。私は危険だからって理由だったけど」
ふとネルの声に現実に戻され、少し身を乗り出して覗き込むと上半身を背もたれに預けて足を組んでいるという、正しい姿勢とはかけ離れた座り方をしていた。「先輩…。行儀悪いですよ」
「いいじゃん。別によくする必要ないんだしさー」
テトの指摘をあっさり跳ねつけると、一つ欠伸をすると「あー、やば。眠くなってきた」と独りごちた。「そこで寝るのはどうかと思うけど?」
「大丈夫寝ないって。話の途中だし」
「全く。あなたも一応名家の生まれなんだから、少しくらい淑女らしくしたら?」
「する必要が見当たらないし、面倒くさい」
ネルの不真面目さに苦笑してから、一拍遅れて何か違和感を感じて首を傾げた。「メイコさん?いま、ネル先輩のこと、何て言いました?」
ネルの反対側にいる、メイコにぎこちなく首を向けて訊きなおす。「ネルはネリー・ハーパー国務副長官の実の娘よ」
瞬間強制的に思考停止し、かかること数秒。「えーーーーーーーーーーー!?」
テトとグミが同時に上げた声に周囲から視線が集まってくるが、二人とも完全に混乱しきっていてそれを気にしていられる余裕は皆無であった。「うっわ、びっくりした!!いきなり、大声ださないでよ!!」
とか怒鳴りかえしちゃう人だよ!?「ちょっ、先輩。そんな体勢してちゃダメですよ!ちゃんと座ってください!」
「そうですよ!家の人全員に怒られちゃいますよ!?」
「別にダメじゃないし、怒りゃあしないわよ!!それにもう違うし!」
「もう違うって…。え、もしかして勘当されたんですか!?」
「そうなんですか!?もー、そんな座り方してるから勘当なんかされるんですよ、先輩!」
「んなわけあるかあああ!!座り方一つで勘当されるとかどんだけ尻の穴が小さい一家よ!!つーか、勘当されたんじゃなくて、こっちから縁切ってやったのよ!」
ネルがそう反論した時、ようやく頭が冷えてきて、「あんなわからずや、親じゃない!だから縁切ったの。今じゃ、本人とは話もしてないし、会ってすらいないわ」
吐き捨てるように言うと、ぷいっと顔を背けてしまう。「まったく…。テトにも話してなかったの?」
「だって、話したって全然面白くない話しだし。いや、ほんと全くもってくだらない話だし」
「そのくだらない話をレンにはして、心底呆れられて、『お前、馬鹿だろ』ってばっさり言われてしまったのよね」
「うっ、うっさい!!っていうか、何で知ってんのよ!」
「ごめんなさいね。情報集めるの好きだから」
そうやって綺麗な笑顔を見せるルカを、ネルは恨めしく睨みあげながら拳をわなわなと震わせて堪えていた。「まあ、そこまで話したくないっているなら、私が代わりに話してあげましょうか?」
「いや、いい。あんたの場合、言わなくてもいいことまで言いそうだし」
ネルがかぶりを振って断ると、「まあ、心外だわ」と白々しくショックを受けたような表情をしてみせてルカは呟いた。「さっき、ルカが言ってたように、うちの親はどっちも政治家でね。父さんは国務長官で、二度と戦争を起こさない為に他国との国交を復活させようと頑張ってた。けど……」
そこで、ネルは一旦言葉を切ると、すっと表情を曇らせた。「建国記念パーティーの最中に反政府組織によるテロが起こって、その時に私の目の前で父さんは殺された。犯行メンバーは全員取り押さえられて、その後すぐにその組織は駆逐されたらしいって後で聞いたわ」
静かな声色で淡々と話すネルの顔は、今まで見せたことがない悲しい表情をしていて、グミは目を伏せた。「それを聞いても私、許せなかったんだよね。だって、父さんは何もしてない。むしろ故郷から追いやられた人を助けようとしてた。数日後にはやっとの思いで叶ったアルヴィス国との対談も控えてたのに、父さんが死んだことで全部白紙に戻されて。あんなに頑張ってたのに、全部無かったことにされたんだ。だから、誓ったの。父さんの代わりに、私なりにこの国の未来を守ろうって。そのために強くなろうって決めた」
自然と降りてきた沈黙を振り切るように、さっぱりとした声でネルは言うと視線を落として確かめるようにぎゅっと拳を握りしめる。「母親にそのこと話して、レッド・ウィングになるって言ったらものすごい勢いで怒られた。私がいくら言ってもそんな危険なこと絶対許さないって、その一点張り。だから、言ってやった。『じゃあ、私母さんの子供でいるのやめる。それなら、母さんの許しは必要ないでしょ』ってね。そしたら、絶句した後、思いっきり叩かれた。あれは流石に腹が立ったわね。今だったら絶対殴り返してる」
「え?殴り返さなかったんですか?珍しいですね」
「あんたの中で、私はいったいどんな風に解釈されてんのよ」
意外そうに口を挟んだテトに、苦虫を噛み潰したような顔でネルは答えて足を組み直す。「で、その後部屋に閉じ込められたんだけどさ。考えを変えるつもりなんて毛頭なかったから、さっさと荷物をまとめて、夜中窓からシーツ垂らして、そのまま出てってやった。それから暫くは父さんと親しかった議員の家にお世話になって、養成学校に入学したってわけ」
へえ、と相づちを打ちつつ、内心苦笑を漏らした。「そういうあんた達はどうなのよ?」
「へ?」
「へ?じゃないわよ。こっちは教えたのに、そっちは言わないっていうのは、どう考えてもフェアじゃないでしょうが」
「そうね。それに、他人に話してみて初めてわかることとかもあるし、それで答えが見つかるかもしれないしね」
ネルに同調したメイコの発言に、なるほどと納得する。「と、いうわけで、まずはテトから。いってみよ〜」
「ええ!?私からですか!?」
おどけたように言うネルにいきなり当てられてたじろいだ後、「あー、これ、グミには話したと思うんだけど」と話を切り出した。「10年くらい前かな?私、物心ついた時には孤児院で暮らしてて、もうすぐ院を出る人たちの為にお金出し合ってプレゼント買いに行くことになったんですよ。その時、行った店に強盗が来て、たまたま近くにいた私が人質にされちゃったんですよね」
失敗談を話すときみたいな軽い感じで、全然穏やかなじゃない話をするので、聞いてる側(グミとルカを除く)は一瞬どんなリアクションをとればいいのかわからず、微妙な空気が漂う。「まあ、流石に怖かったんですけど、その時一人の女の人がレッド・ウィングだって名乗って犯人達に立ち向かっていって、あっという間に全員倒しちゃったんです。その姿がまるで正義のヒーローみたいでとってもかっこよくて、私もこんな風になりたいって思ったのがきっかけですね」
もう顔も思い出せないんですけどと、付け足すテトにネルは「ふ〜ん」と言いながら思案顔になり、「でも、そんなに軽々しく名乗ったということはそいつは多分新人ね。ってことはまだここに在籍してんじゃない?ね?メイコ」
「そ、そうね……」
「そうなんですか!?わあ、会ってみたいです!」
それを聞いてを目を輝かせるテトとは対象的に、メイコは何故か気まずそうに視線を逸らしてしまうのでグミは怪訝に思う。「もしかして、二人ともその人のこと知ってるんですか?」
「知らない、知らない、知らない!そんな奴がいたことも聞いたこともない!!そうよね、ルカ!」
ルカの肩をがっと掴んで、がくがく揺らしながら同意を求めるメイコの動揺っぷりにぽかんとしてしまう。「グミはどうなの?なにか理由でもあったんじゃない?」
「あ、えー、ええと…」
さりげない感じで問われて思わずグミは思わず言い淀んでしまった。「そうですね。私もある人に憧れたから、ですね」
「ある人?」
「私、ここから結構遠いところにある村で育ったんです。でも、5年前に反政府組織の襲撃に遭って、両親はその時に亡くなりました。私も殺されかけたんですけど、運良くレッド・ウィングの人に助けてもらいまして」
するとルカが何か考えるように小首を傾げて、「もしかして、それ、フルプ村襲撃事件のことかしら?」
「あー、それ知ってる。確かそこの住民の殆どが犠牲になったって聞いたけど。もしかして、その時の生存者?」
ネルに訊かれ頷くと、何か合点したようにふんふんと頷いてみせたりする。「なるほど。で、その隊員に憧れた、と」
「まあ、そうなんですけど……」
「けど?」
微妙に歯切れの悪い返事にメイコが不思議そうにこちらの顔を覗きこんだ。「私、どうしてあの人に憧れたのかいまいちわかってないんですよね……」
非常に困った声でぽそっと言うと、一拍の沈黙の後。「変ですよね、憧れた理由がわかってないなんて」
苦笑して隣のメイコに顔を向けると、目をしばたたかせて何か言いたげな顔をした後、ルカと顔を見合わせてたりしていた。「何話してるのかな?」
「ああ、いや…。内容はなんとなくわかるけどね」
「え?」
そう訊き返した時、ルカがひょいとこっちに顔を向けて、「ねえ、それって本当に憧れだったの?」
「へ?」
思わぬ質問に素っ頓狂な声を上げると同時に、慌ててネルとメイコがルカの頭を乱暴に押し込み抑えた声で口々に何か言い募り出した。「あの、どうかしたんですか?」
訊いてみるが、メイコは「あー、ちょっと、色々とね」と曖昧に笑って誤魔化すと、「まあ、その戦う理由っていうのは、じっくり考えていったらいいんじゃない?そういうのは、色々なことを知って、肌で感じてからじゃないときっと見つからないだろうし」
「そう…、ですか」
「そんなにしょげなくても。あいつは他人にできないであろうことは要求しないわよ。多分、あんたなら見つけられると思ってのことでしょ。裏を返せば、あいつはそれだけあんたのことを認めてるってことよ」
ネルがそうフォローするが、その表情は複雑そうで、声も若干ふてくさているように聞こえた。「ネル。今夜私の部屋で一緒に飲む?愚痴ならいくらでも聞いてあげるし、すかっとするわよ?」
「未成年に、飲酒勧めてるんじゃないわよ〜…。もう……」
いつもより弱々しい声で突っ込んで、ネルはベンチの上で膝を抱え込むとそのまま顔をうずめてため息を吐いた。「あら〜、甘酸っぱいわね〜」
からかうように言うルカにネルは一瞬だけ顔を上げて睨むと、もう一度顔を膝に突っ伏してから「あー!もう!」と声を上げて、テトとグミの手首をむんずと掴みあげて、「もやもやしてきた!ってなわけだから二人とも、これからトレーニングに付き合いなさい!」
「ええーーー!」
「つべこべ言わず、さっさと行くわよ!!」
半ば引きずられるようにしてネルに強制連行されることになり、視線で二人に助けを求めたが、ルカがにこやかに手を振るだけだったので、グミはこっそりため息をつくことしかできなかった。