目の前をせかせかと通り過ぎていく人達を、トラックの側壁に寄りかかりながらグミはぼんやりと眺めていた。
処理部隊が到着したと連絡が入って外に出ると、マウロを一旦処理部隊の監視下においてから現場報告に移ることとなった。
グミもレンについて行こうとしたが、レンに待機するように言われてしまい、こうして所在無く突っ立っている次第である。
ふとさっきの少年達の遺体の光景が脳裏に浮かんで、ぶんぶんと頭を振る。
しっかりしろ、と自分に言い聞かせる。
あんなことで動揺しててどうする。
あっちは自分達を殺そうとしたんだし、そもそも彼らもそれが仕事だった。
そうやって自分を叱咤するが、どうしても彼らの虚ろな目が脳裏にこびりついていて離れない。
それを振り払うように、はあ、と溜め息を吐くがやっぱり何の効果もなかった。

「あ、グミいた」

その声に顔を上げると、テトが笑って軽く手を振っていた。
その顔には絆創膏や湿布が貼られ、足にも絆創膏の他にガーゼがテープで貼り付けられていた。
腕も負傷したのか袖から包帯が巻かれているのがちらっと見えて、その姿が痛々しく見える。
グミが自分の姿を観察しているのに気付いたのか、「大丈夫だよ。見た目ほど酷くないし」と笑ってみせる。

「そっか、良かった」

「それより、グミの方こそ大丈夫?」

「私?」

特に目立った怪我はしていない、というよりこっちは無傷だったので思わず訊き返してしまった。
頷いてみせるテトに対して、首を傾げながらも、

「私は大丈夫だよ。敵もアシュフォード先輩が殆ど倒してくれたから、怪我とかしてないし」

「いや、怪我の方じゃなくてさ…」

珍しく言いにくそうにしているテトを怪訝に思っていると、こちらの顔色を窺うようにしてテトは口を開いた。

「もしかして、思い出しちゃってる?」

そう言われてどきりとした。
一瞬目を伏せて、親指とひとさし指の間に僅かに隙間をつくって見せて、

「ちょっとだけ…ね」

心配かけないように苦笑しながら言うと「無理に笑わなくていいよ」とテトが心配そうな顔したので、逆効果だったか、とちょっとだけ後悔した。
確かに鮮明とまではいかないが、脳裏をかすめるくらいはしていた。
さっき少年達の遺体を見たときも、あの時・・・の光景と僅かにダブって見えて思わず目を逸らしてしまいそうになった程だ。
一応、あの時とは違うと割り切ってはいるつもりだったのだが、どうやら顔に出てしまっていたらしい。

「でも、ちょっとだけだし。心配しなくても大丈夫だよ」

「なら、いいけど……」

いまいち釈然としてなさそうにしているテトを見て、そんなに思いつめてるように見えてたのか、と内心苦笑してしまう。

(私って駄目だなあ……)

任務中に敵を斬るのを躊躇ったり、人質に捕られたり、挙句過去の事で変に気を遣わせてしまって。
特にあの時のことについては何年も経ってるし、自分でももう大丈夫だと思っていたのに……。

「なーに、二人してしけた顔してんの」

無意識の内に俯けていた顔を上げると、ネルが両腕を腰に当ててこちらを覗きこんでいた。

「あれ?先輩、もう現場報告終わったんですか?」

「現場報告って言っても大してやることないのよ。特に今回みたいなターゲットを逮捕する任務はね。だから、さっさと終わらせてきた」

そう言いながら、「ほら、プレゼント」と持っていた缶コーヒーを放って渡してきた。
慌てて受け取ると、程よく温まっている缶コーヒーから熱が伝わってきてほんのり手が温まる。

「ありがとうございます。ハーパー先輩」

「ネルよ」

そう言われて小首をかしげると、ネルは口を尖らせて、

「そのハーパー先輩っていうの、慣れないし変な感じするから、出来れば下の名前で呼んで欲しいって言ったの」

ちょっと照れたようにプルタブを引きながら言った。

(子供みたい……)

何となくそう思いながら視線を送っていると、

「何よ?」

「いえ、なんでもないです」

真実を言えば間違いなく怒られそうだったので、何でもないような顔で誤魔化しておいた。
ネルはいまいち釈然としない顔をしていたが、やがてグミと同じようにトラックに身を預け、コーヒーを飲んでふーっと息を吐いて、

「初任務の後ってさ、現実見せられたって感じになって、なーんか気分暗くなるわよね。私も最初はそうだった」

独りごちるようにぽつりぽつりと話し始め、苦笑いを浮かべた顔をこちらに向けた。

「私の初任務も丁度こんな任務でさ。大して失敗とかしたわけでもないのに、なんか浮かない気分でさー」

「先輩でもそんなふうになってたんですね〜」

「失礼ね。あの時私はまだ14で、純情な心を持った乙女だったのよ!」

からかうように言ったテトにネル頬を膨らませる。
思わずグミがくすくす笑ってしまうと、じとりと睨まれてしまい、すぐに笑いを引っ込めて「すみません」とぺこりと謝る。
まったくと小さく呟いてから、ネルは缶コーヒーに視線を落として話を戻した。

「でね、その時私もレンにこんなふうにコーヒー渡されて、『何、暗い顔してるんだ』って言われたのよね。その時思わず食ってかかっちゃったんだけど、あいつはこんなのいつもに比べたら、まだまだ軽いほうだ、だなんて言うから愕然としたのを覚えてる」

「実際、今聞いて私もちょっと愕然としてますけどね……」

「ははっ、そうよねー、そうなるよねー」

その頃を思い出すように笑うネルの顔は、懐かしそうでありながらほんのちょっと寂しそうだった。
いつもと違ったネルの表情を見て、グミはこんな顔もできるんだな、と頭の隅のほうで思う。

「でも、その時思ったのよね。レンはこれ以上酷い現場にいったことがあるわけで、こいつにはそういう世界は一体どんな風に見えたんだろうって。だって、あいつが入隊したのって10歳よ?普通正気でいられると思う?」

ここより酷い現場。
多分そこは一歩間違えれば死が待っているような場所で、そんな所をわずか10歳であの人は見せられてどんな気持ちだったんだろう。
想像してみようとしてみたが、全然できなかった。
ただ、今の自分なんかが絶対に想像できない気持ちだった、ということがわかっただけだった。

「そう思うとさ、ヘコんでるのがなーんか馬鹿らしくなってきたのよ。そんで、思い出した。ちゃんと全部覚悟してこの世界に入るって決めたんだってこと。だったら、こんなことでヘコんでる暇なんてないだろってね。そうやって気持ちの面では割り切った」

言い切るとネルは空になった缶を一度真上に投げてキャッチすると、そのまま投擲のポーズをとって思いっきり投げ飛ばした。
遠くにあったゴミ箱に空き缶が吸い込まれるように入り、「ストライク」とネルは満足そうに呟いて、振り向かせた顔はどこか晴れ晴れしているように思えた。
そしてグミとテトの頭の上に手をぽんと置いて、

「だから、あんた達もここにいるつもりなら割り切りなさい。ちゃんと自分で納得できる形でね。んで、それがどーしても無理だっていうんだったら、ここにいるのはやめた方がいいわ。今ならまだ引き返せるから」

ね?と顔を覗き込んでくるネルに「…はい」と戸惑いながらも小さく返すと、ネルは柔らかく微笑んで二人の頭を少し撫でてから、手を離して一つ頷いた。

「お前ら、こんな所で何してるんだ?」

ふとかけられた声に顔を上げると、レンが怪訝な顔でこちらを見ていた。
ネルは頬に人差し指を当てて「うーん」とちょっと考える素振りを見せて、にこっと笑い、

「人生相談」

その答えに首を傾げつつもレンはがしがしと頭を掻いてから、大して興味もなかったからか「あ、そう」とだけ返した。

「そんなことよりも、来たぞ。護送車」

後ろに向けられた親指の先を見ると、確かにそれらしき車があって、何故かネルは「おおっ」と目を輝かせた。
それを見たレンが若干げんなりしたように、溜め息を吐いてから、

「とりあえず、ネルはターゲットを連れてきてくれ。俺は新人を連れてくから」

「は?何で!?」

「不測の事態を考えて、新人にさせるわけにいかないだろ。それから、俺はできるだけあいつと顔を合わせたくない」

きっぱりそう言い切ると、「行くぞ」とだけ言ってさっさと行ってしまうので慌ててトラックから体を離す。
レンの速い歩調に小走りで追いつくと、テトが声をひそませて「何かあったの?」不思議そうに尋ねてきたが、グミは苦笑だけの曖昧な返事で返しておいた。
それにしても、とグミはレンの後ろを見ながらマウロの部屋での出来事を思い出す。
確かにマウロが言ったことはあまりにも酷かったし、到底許せるものでもなかった。
でも、自分の事には眉一つ動かさなかったレンが、あの少年達の事を侮辱された後あんなにも憤ったのは正直驚いた。
あの時、レンは口には出していなかったが、多分彼らの為に怒ったんだろう、とグミは思う。
ネルが昼間言っていたことが、ふと脳裏に浮かんだ。
もしかしたら、この人はあまりに表面に出さないだけで、本当はもっと優しい人なんじゃないのだろうか。
だから、周りに気を配っているし、他人の事であんなにも怒れるのではないだろうか。
ネルにそれを伝えたら、「今ごろ気付いたわけ?」とか言われそうで、思わずくすっと笑ってしまう。
確かに、本当に何で今ごろ気付いたんだろう。
入隊初日の時、緊張で何も言えなくなった自分を落ち着かせてくれたのは、他でもないこの人だったじゃないか。
自分の事よりも他人を優先するが、他人にはそういう所を見せない。
レン・アシュフォードという人はきっとそういう人なのだ。
前を歩くレンの背中を見つめながら、グミはそんなことを思っていた。





「容疑者は?」

護送車の中から出てきた警部らしき人が開口一番に言ったのはそれだった。
それに対してレンは「今、連れてきてる」と非常に端的に答えると警部は周りを見渡して、

「こんなに死人を出して…。まさか容疑者も死んでいやしないだろうな」

「そっちの要望通り、ちゃんと無傷だ。死人が多いのは、そっちがターゲット以外に対して特に何も指定してこなかったから、こっちの流儀でやらせてもらったまでだ。何か問題でも?」

そう言ってレンが表情も変えずじろりと見上げると、警部はぐっと黙りこくった。
二人の間にぎすぎすした空気が流れていて、グミとテトは途端に居心地が悪くなり、ネル先輩早く来て、と心の中で懇願した。
その願いが届いたのか、すぐに後ろから「連れてきたわよ〜」というネルの声が聞こえて、安堵したのも束の間。

「あら、貧弱警部殿じゃない。相変わらず、偉そうにしてて何より」

明らかに相手を挑発するようなネルの言いように、ますます雲行きが悪くなり、すぐに落胆する羽目になった。
そういえば、任務の説明の時も散々な言い方をしていたのを思い出し、何で二人ともこういう態度なんだろうと疑問に思う。
とはいえ、警部の方も何か棘の含んだような言い方をしていたので、双方とも決して友好的ではないらしい。
警部は暫くネルに対して険しい表情を向けていたが、やがて「ふん」と顔を背けると、部下にマウロを連行するよう指示する。
生気が抜けたような顔をして護送車に乗り込むマウロの後ろ姿を見送って、

「確かに今回は無傷のようだな……」

「ちょっと…、何よその言い草。私達がそんなヘマでもやらかしてたと思ったわけ?」

お前が言うな。3ヶ月前そのヘマを思いっきりやらかした、お前が

不満げに口を尖らせるネルにすかさずレンが突っ込みをいれると、わざとらしく咳払いをしてレンの足を踏んずけようとしたが、レンが瞬時に足の置き場を変えたので、結局空振りに終わる。
そのまま小さくレンを睨み上げるネルだったが、本人は相手にしていないのか、今朝と同じように完璧にシャットアウト状態で。
二人のやりとりを見ていた警部が小さく舌打ちし、「全く…。なんでこんな子供なんかの相手をしなきゃならんのだ」

「その子供に助けを求めてきたのはそっちでしょうが」

警部のぼやきを耳ざとく聞きつけたネルが瞬時に反論に出る。
その言葉に再び警部が眉をひそませるが、ネルは臆した風もなく寧ろ生き生きとしていて、どう見ても楽しんでいるように思えて仕方がない。

「大体ね、こんな小規模な組織を潰すどころか、全滅させられるってどんだけ弱いのよ、あんたら。聞けば、そっちが育成してる特殊部隊も投入したのに、全く歯が立たなかったらしいじゃない。それなのに何でそんなに偉そうにしてられるのか、神経を疑うわ」

「この…、政府に重宝されてるからっていい気になるな!」

「へえー、私達って政府にそんなに気に入られてるんだー。知らなかったわー。警察って市民の安全より政治に興味津々なのね。そんなんだからあんたらはヘボっちいのよ。こんなのが市民を守る為の警察だなんて、ほんっと聞いて呆れる。っていうか呆れを通り越して、逆に尊敬しちゃうわ」

ネルの口から次々と悪態が飛び出すにつれ、警部の顔が怒りでどんどん赤くなっていくのがわかる。
そんな状況を流石に見かねて、グミとテトはネルの傍で呆れ顔をしつつも傍観を決め込んでいるレンにこそっと近寄って、

「あの…、止めなくていいんですか?あれ」

「まあ、下手に止めたらこっちに飛び火しかねないからな…」

としかし、この状況が一向に収束しそうに無いと踏んだのか、「とはいえ、このままじゃ収拾がつかない、か…」と独りごちると、お互いに火花を散らしあっている二人の間に割って入り、

「お前らいい加減にしろ」

決して大きくない声でレンが一喝すると、途端に二人とも口を閉じて辺りがしんとなる。
それくらいレンの声は何処か威圧的で鋭かった。
二人が黙ると、レンはまずはネルに向き直り、

「ネル。お前が言ってる事は確かに間違ってはないし、むしろ正論だ。だが、当人に言ったって話がこじれるだけだろ。どうせ認めるはずもないんだからな」

「なんだと!!」

止めに入ったはずなのに、一番失礼な事をさらっとのたまったレンに警部が荒げた声を上げた。
しかし、レンがぎろっと警部を肩越しに睨みつけるとたじろいで口をつぐむ。
それを認めると、レンはすぐに視線をネルに戻し、

「お前もそれくらいわかってるはずだ。なのに、わざわざ事を荒げて…。俺達にどれだけ迷惑かけてるのかわかってるのか」

「だ、だって…」

「だってじゃない」

上目遣いで反論しようとしたネルを、レンがその一言でぴしゃりと一蹴すると、ぐっと黙って視線を逸らした。
レンは暫くの間、そうやって目も合わそうとしないネルを黙って見下ろしていたが、踵を返して今度は警部と向き合う。

「お前もお前だ。いい歳して、いちいちこいつの言うことに反応して。そんな暇があるなら、さっさと容疑者を護送するっていう職務を果たすべきなんじゃないのか」

レンが指をさしながら至極最もな事を言うと、警部は何も言えなくなって舌打ちをすると、車に乗り込んで当てつけのように強い力でドアを閉めた。
エンジンがかかり、廃棄ガスを吐き出しながら護送車が発進して、その姿が徐々に小さくなって行く。
護送車が見えなくなった頃、レンはネルの額を軽く小突くと、頑として上げようとしなかった顔がようやく上がる。

「いつまでそうしてるつもりだ。何歳児だ、お前は」

「うっさい!っていうか、何であそこで入ってくんのよ。あともうちょっと煽り立てて、殴りかかってくるとこを返り討ちにするつもりだったのに!」

「だから嫌なんだよ。お前とこういう任務やるの……」

苦虫を噛み潰したようにレンがぼやくと、「なによお!」と心外そうにネルがすぐに声を上げる。
そのままつっかかてくるネルの顔を片手で押さえつけながら、視線をこちらに寄越して、

「お前ら、そろそろ行くぞ」

「行くって、何処に?」

反射的に訊き返してて、言った本人であるのに関わらずきょとんとしてしまった。
全員が同じくきょとんとした顔でグミの方を見てくるので、さっき問うてしまったことに即座に後悔する。
レンが若干眉間に皺を寄せて、「何処にって…」そう言いよどんでから、

「帰るんだよ。いつまでもここにいるわけにもいかないだろ」

至極当然のことを面倒そうに言うと、早い歩調でその場を離れて行く。
すぐに後についていこうとしたが、2、3歩歩いた所で立ち止まって、現場の方に視線を向ける。
さっきまで行われていた現場調査も一段落ついたのか、処理部隊のほうも撤収作業に移っている。
仮面の少年達のことがふっと脳裏に浮かび、同時に先ほど言われた「帰る」という言葉が頭に浮かんできた。
彼らに帰る場所や、帰りを待ってくれてる人はいたんだろうか。
自分には養成学校に入る前は両親と、その後はルームメイトのテトや友人と「おかえり」や「ただいま」を言い合える相手がいた。
でも、彼らにはもしかしたらそういった言葉を交わす相手がいなかったかもしれなくて、そういうのはやっぱり寂しいと思う。
そもそも帰る場所すらあったかどうかも定かではない。
両親に捨てられ、帰りを待ってくれてる人も、帰る場所すらなかったかもしれない彼らの人生は一体どういうものだったんだろう。
人を殺すことでしか生きる道を見つけられなかった彼らの人生は、はっきりいって悲しいものだったのだろうが、そうした中でも笑い合えることができたりしたのだろうか。

「どうした、新入り。早く行かないと、置いてくぞ」

レンの声に現実に引き戻され、いつの間にか目の前に相手がいることに驚いて思わず「わっ!」と声を上げた。

「す、すみません!えっと…、色々考え事しちゃってて……」

両手をぱたぱた振りながら言い繕うと、「あー、わかった。わかったから、落ち着け」と持て余したように言われ、我に返って動きを止めた。
すると唐突にさっきの行動が恥ずかしくなって、かーっと顔が熱くなっていくのを感じた。
顔を合わせづらくて視線を泳がせてしまっていると、ぽんと肩に手を置かれ、

「何浮かない顔してるんだ。帰れるんだろ、お前は」

見透かされたように言われて、思わず顔を上げた時にはレンは肩から手を離していて歩き出しながら、

「ほら、行くぞ」

肩越しに振り返って言われて、慌てて小走りで追いかけた。

(そっか…。私には、まだ帰れる場所があるのか…)

今更そんなことを思って、自分はつくづく恵まれていると思う。
彼らとは違って、私にはまだ帰れる場所と一緒に帰れる仲間がいるのだから。
それがとてつもなく素晴らしいことだと思えて、言いようのない感情が胸に広がっていくのを感じた。
車に乗り込む前、もう一度後ろを振り返り、目を伏せて少しの間だけ黙祷する。
そして、また声をかけられる前に車に乗り込んで、スライド式のドアを閉め、何でもないような顔で窓の外の光景に目を向けた。


グミとって初任務であったこの日。
しかし、この日の内に彼女は色々な思いをし、その日の出来事が深く深く胸に刻み込まれることとなったのだった。



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